9月21日(水)下記のとおり、ビッグ・アイ小研修室5にて第43回目となるセミナーを開催しました。
第一部「相続登記の義務化と家族信託の利用」講師:司法書士 樋口 聡
第二部「相続対策に効果的な生命保険の活用方法」講師:ファイナンシャル・ジャパン(株)藤原悠貴氏
当日は台風14号が近畿地方を去って、気温が下がり過ごしやすいこともあってか、予約いただいた方々の他に、当日参加の方もおり、参加者が合計16名となりました。
セミナー終了後の質疑応答も入れると、約2時間半の長い時間でしたが、好評のうちに終了し、後日開催の個別相談会にも多数のお申込みがありました。
今回のセミナーでもお話しましたが、令和6年4月1日に「相続登記が義務化」されます。
この義務化はすでに発生している相続においても適用され、登記すべきであるのに怠った場合には10万円以下の過料が課される厳しいものとなっています。
「相続登記をしたいけど費用はどれくらいかかるの?」
「登記費用が免税になることはないかな?」
相続が発生して、不動産を相続することになると、登記費用としてどれくらいかかるか不安な方もいらっしゃると思います。実は、期間限定の措置ではありますが、以下の条件に当てはまれば免税になる可能性があります!!
●相続登記の登録免許税が免税される2つのケース
①相続により土地を取得した人が相続登記をせずに死亡した
②不動産の評価額が100万円以下の土地に係る相続登記
不動産の登記をする際に収める税金で、相続登記の税率は固定資産評価額の0.4%です。
【固定資産税評価額× 税率(0.4%)】
(※固定資産税評価額は、毎年固定資産税の支払いのために送られてくる納税通知書で確認することができます。)
例えば、2,000万円の土地を相続する場合、かかる登録免許税は8万円です。免税措置を受けられるときには、この登録免許税8万円が免除になります。
①相続により土地を取得した人が相続登記をせずに死亡したケース
【租税特別措置法第84条の2の3第1項】
例えば、Aさんが亡くなった父親Bから土地を相続するとします。この土地は亡くなった祖父Cから父親Bが相続していたにもかかわらず、父親Bは相続登記を行っていませんでした。Aさんが相続登記をするためには父親Bの相続登記をする必要があり、Aさんは父親Bが相続登記をする分と、自分が相続登記を行う分の登録免許税を負担する必要があります。しかし、今回の免税措置を利用することにより、祖父Cから父親Bへの相続登記に関しては免税で登記できるようになりました。
上記の免税措置は、金額の上限や土地の条件などがありません。そのため、評価が高く、登録免許税も高い不動産を保有している場合、免税制度を利用することで大きく負担を減らすことができます。
②不動産の評価額が100万円以下の土地に係る相続登記のケース
【租税特別措置法第84条の2の3第2項】
※この免税措置は、令和4年度税制改正により条件が緩和され(市街化区域外の土地で法務大臣が指定した土地に限定されていましたが、全国の土地に拡充されました。不動産の価格も10万円以下から100万円以下へ引上げ。)より免税を利用しやすくなりました。
以前は、実際には山林や田、畑等しか対象になりませんでしたが、改正により土地の相続で、1つの土地ごとに固定資産評価額が100万円以下であれば利用できますので、当事務所でもこちらのケースはよく取り扱っております。
「免税措置はいつまでか?」
免税措置は、令和7年(2025年)3月31日までとなっています!!
「相続登記の義務化」は過去の相続についても対象になるので、自分が相続する(すでに相続した)不動産が免税措置の対象ならば、免税で登記ができるうちに登記してしまいましょう。
「免税を受けるにはどうすればよいか?」
登録免許税の免税措置の適用を受けるためには、「租税特別措置法第84条の2の3第1項により非課税」又は「租税特別措置法第84条の2の3第2項により非課税」と登記申請書に記載して法務局へ提出します。免税の根拠を記載しないと免税措置は適用されないので、注意が必要です。
※今回の免税措置は土地の相続に限定されています。
「建物」の相続登記は免税措置の対象外です。もし、登録免許税が非課税となる土地の上に建物があった場合、建物についても相続登記をすることになりますが、建物の相続登記については原則通りに登録免許税が課されますので、ご注意下さい。
登記の申請は、自分で行うこともできますが、不動産を複数保有している場合や相続人が複数名いる場合には当方のような司法書士に依頼されることをおすすめします。専門家に任せれば、間違いなくスピーディーに手続きを進めることができます。
相続登記の申請書に、不動産の表示などを間違えて記載したり、必要な書類に不足があると何回も法務局との往復をする可能性もあります。仕事が忙しくて手続きを調べる暇がない、確実に手続きを進めたいと思われるのであれば、いつでも当方ご相談下さい。