4月21日(水)下記のとおり、ビッグ・アイ小研修室5にて第35回目となるセミナーを開催しました。
第一部「相続における注意点と家族信託の利用」講師:司法書士 樋口 聡
第二部「どんな家庭にも相続対策」講師:藤原悠貴氏
コロナウイルスの変異株の感染者が増え、大阪も深刻な状況になっています。緊急事態宣言が出されるかどうかという大変な時期でしたので、当日は来ていただけないかと心配しておりましたが、5名様のご参加がありました。ご参加いただいた皆様、誠にありがとうございました。
所有者不明の土地が発生する大きな原因として、法務省によると、不動産の相続登記がされていないことが約66%、住所変更登記がされていないことが34%としています。
その為、相続登記と住所変更登記の義務化、所有者の連絡先情報の把握のための法案が2021年2月10日に法制審議会の民法・不動産登記法部会第26回会議において決定され、その後閣議決定及び国会の法案成立を経て2023年施行予定です。
今回の改正ポイントは下記のような内容です。
●相続登記の義務化と罰則の制定
相続による不動産取得を知った日から3年以内に相続手続をしなければ、10万以下の過料の対象
●氏名又は名称及び住所の変更登記の義務化と罰則の制定
所有者である個人や法人の氏名又は名称及び住所の変更があった場合は、2年以内に手続をしなければ、5万円以下の過料の対象
●法務局による所有者情報取得の仕組みの制定
法務局(登記官)が、住民基本台帳ネットワークシステム又は商業・法人登記システムから所有者の氏名又は名称及び住所の変更情報を取得し、職権で変更登記をすることができる仕組みを作ります。(ただし、所有者が個人であるときは、本人への意向確認と本人からの申出を必要とします。)その為に、法務局へ所有者の生年月日、海外居住者の連絡先の提供が義務化されます。
●土地の所有権放棄の制度化
相続等により土地を取得した者がその所有権を放棄して土地を国庫へ帰属させることが可能となる制度を新設します。
今回のセミナーでも何年も前に亡くなった方の名義になっている田舎の土地の処分について困っている等の質問がありました。
既に何世代にも渡って登記が放置されていると正しく登記するには相当な労力を要します。また、相続人が全員存命であってもその中に認知症等で判断能力に問題がある場合は後見制度を利用するなど、大変な手間がかかります。
改正法が施行されるまでの間に、極力現状に即した正しい登記内容にしておくことが大切です。ご心配な方は、お気軽にご相談下さい。